現役銀行員、語る

しがないバンカーが銀行の裏側や世の中について語ります

定年まで銀行に勤める人=0人!?

最近では人生100年時代という言葉を聞く機会が増えてきましたね。

そんな中、60歳や65歳で定年退職をしてからもう一度学びなおして新たな職で働き続けることを推奨する本なども出てきました。

 

今回は銀行の定年退職の事情や実態についてお話します。

 

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銀行定年退職をする人などいない?

結論を先に言います。

僕は銀行に約7年勤めていますが、定年退職する人を見たことがありません。

それはたまたま60歳、65歳になるタイミングの人がいなかったからという理由ではありません。

そもそも60歳くらいの年齢の銀行員は銀行にいないのです。

 

銀行は傍から見ると不思議な組織で、50歳前後で銀行から出向します。

銀行の役員にならない限り、例外なくみんな出向します。

出向とは銀行に籍を置きながら別の会社で働くことですが、残念ながら銀行に戻ってくることはまずありません。

出向後数年間は、給料がガクンと減りすぎないように銀行から補填されるようです。

その後、完全に籍を移す(転籍)為、銀行から切り離され補填はなくなります。

 

最近ではドラマに銀行員役がいるケースが増えてきたので、ドラマで見たことがある方は馴染みがあるかもしれません。

池井戸潤さんが原作のドラマでは特に銀行員や銀行から出向してきた経理部長がよく出てきます(池井戸さんが元々銀行員のためよくご存知で書きやすいのでしょう)。

「片道切符の~」なんて言葉が出てきたりしますが、その通りです。

 

出向して行く会社は大きく分けて2種類です。

銀行のグループ会社に行く、もしくは全く関係ない会社に行く、です。

 

銀行のグループ会社に行く

銀行には数えきれないくらいたくさんのグループ会社があります。

保険、リース、不動産、人材派遣、システム、債権回収、信用保証、カード、シンクタンク

などなど、、、

これらの会社に出向して業務をします。

業務内容は人によってまちまちで、営業をする人もいれば事務をする人もいます。

 

全く関係ない会社に行く

グループ会社に全員行けるというわけではありません。グループで全員を受け入れるのは人数的に限界がありますし、自身のグループから離れたいという人もいます。

そういう人は就活をして独力で就職先を見つけます。

銀行のコネがあって行けるという会社もあるようですが、多くはありません。

 

出向した先の会社では、財務部長や経理部長として働くケースがほとんどです。

約20年間銀行に勤めたということで、「お金に関しては一定の信頼が置ける」という反面、「お金に関して以外は大して役に立たない」というのが採用する会社の本音でしょう。

僕の現在仕事の担当先にも、経理部長が僕の銀行のOBという会社があります。

大先輩ということになるので、敬意は忘れないようにしていますが、先輩風を吹かされるとちょっとイラっとしますね。笑

 

出向する意味

なぜ出向するのか。誰も教えてくれませんので僕独自の考えが2つあります。

それは「人件費の削減」と「グループ会社の雇用確保」です。

 

人件費の削減

50歳を過ぎた高給取りは組織にとって負担になるから切り離してしまえ、という考えでこれが出向の一番の目的なんじゃないでしょうか。

銀行員の仕事は経験がとても大事な仕事ですが、体力・精神力が求められる仕事です。

年齢を重ねた人には別のステージで頑張ってもらうという姿勢は、間違ってはいないかと僕は思います。

 

グループ会社の雇用確保

グループ会社には銀行の知識がある人を求めているという会社もあります。

そんな会社の雇用の為にという名目も、出向にとってあるようです。

 

銀行の人員削減計画との関係性

今、メガバンクは人員削減計画の真っ只中です。

三菱UFJ銀行・・・9500人分の業務量削減

三井住友銀行・・・4000人分の業務量削減

みずほ銀行・・・1万9000人の人員削減

 

みずほ銀行以外は業務量削減とのことで明確に人を減らすとは言っていませんが、人員に関して3行で共通していることがあります。

それは、新卒採用を大幅に減らしていることです。

三菱UFJ銀行・・・959人→530人

三井住友銀行・・・667人→600人

みずほ銀行・・・700人→550人

(それぞれ2019年の実績→2020年の計画)

 

詰まるところ、学生の採用を減らし、50歳前後で出向していけば自然に人は減っていくことになります。

これがメガバンクの作戦です。結局メガバンクは全部人を減らすんです。

出向の人数の正確な人数までは把握していませんが、これからバブル頃に入行した銀行員が大量に出向します。加えて新入行員や現在の行員の退職もあって人は減ります(噂では毎年1,000人辞めていくと聞きました)。

 

銀行業界が厳しい環境に置かれている為、暗いニュースが多いです。

これからは明るいニュースを出せるような仕事をしていきたい、そう思います。

 

 

※ここでの話は基本的に男性の総合職のものです。

女性の一般職の人は年齢が来たら定年退職するのだと思いますが、定年まで勤める人を見たことがありません。

また女性の総合職は30代になると数が相当減るので、これまた例を見たことがありません。

そう考えると、銀行は女性にとって働きやすい職場とは決して言えないと改めて感じますね、、、

 

まとめ

・銀行員は50歳くらいでみんな出向する(役員になった場合除く)

・銀行は人をすごい勢いで減らしている

 

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