現役銀行員、語る

しがないバンカーが銀行の裏側や世の中について語ります

【まとめ】かんぽ生命、いったい何をしたのか?

かんぽ生命が不適切な保険販売を行ったとのことで世間で問題になっています。

 

今回は起きたことのまとめと僕なりの考えを述べたいと思います。

 

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不適切販売の概要

2019年12月18日の報告では、法令・社内規定違反がなんと1万2000件超!

まだまだ増える可能性があり、数倍まで膨らむ可能性があります。

その契約のうちの約70%が60代~90代、男女別では約85%が女性という

高齢女性が多く不正の被害を受けたことが報告されています。

 

かんぽ生命には保険販売の業務停止命令が出される方向性なのですが、

さらに悪いことに、総務省の前次官が検討状況をかんぽ生命に流していたという情報漏洩まで発生しました。

政界まで巻き込み、事態は悪化の一路です。

 

不適切な保険販売とは何をしたのか

そもそも今回の不適切販売とは具体的に何をしたのでしょうか?

大きく分けると次の2点

1.保険料の二重徴収

2.保険契約における誤った説明

それぞれ説明します。

 

1.保険料の二重徴収

顧客の既存保険の見直しをして切り替えを行う際、

契約期間をわざとダブらせて二重に保険料を徴収するというものです。

なぜそんなことをしたかというと、

かんぽ生命の営業マンの評価上、新たに契約をしてから(既存保険の)6ヶ月以内に解約があった場合、営業成績が半減するというルールがあったためです。

 

2.保険契約における誤った説明

保険料の二重徴収だけでも問題ですが、かんぽ生命の営業マンは保険契約の際に数多くの嘘をついています。

1.のルールを逃れるために「新たな契約から6ヶ月以内には(既存契約を)解約できません」と嘘を付き、自分の営業成績に有利になるよう悪事を働きました。

 

別の手口として、

既存保険の解約後3ヶ月以内に新たな保険に加入した場合でも営業成績が半減するというルールもあったため、「解約から3ヶ月以内は保険に入れません」という嘘を付き、一時的な無保険状態にするという手口も使っていたようです。

 

要するに、新契約の前3ヶ月、後6ヶ月以内に既存契約の解約があると営業成績が半減されるため、逃れるための嘘をついて「一時的な無保険状態」or「二重保険状態」にさせたということです。

 

他には

「持病があっても保険に入れると嘘を付く(契約に病気はないと嘘の告知をさせる)」

「既存保険の変更で対応できるところを、新規契約+既存保険の解約で対応させる」

などのさまざまな嘘をついて新たな保険を契約させていました。

 

◎なぜ起こったのか

今回の原因の1つが「過度な目標必達主義」と言われています。

営業成績を上げた人が優遇される制度があったことも原因の1つとして挙げられています。

、、、理解はできますが、本当にその2つでここまで大規模に不正をするでしょうか?

 

僕なりの考察

極めて由々しき問題です。

今回の原因は目標必達主義や成績優秀者への報奨制度と言われていますが、それ以上に問題なのは「不正販売を黙認してしまう風土」だと感じています。

保険の販売は営業マン一人だけで完結しません。

少なくとも書類やシステムで上司の目を通ります。

その上司が「保険料を二重に払って、ダブった期間を6ヶ月+αで解約する(しかもそれが多発している)」という事象に違和感を感じないなんて正直あり得ません。

組織的にモラルが崩壊していたということでしょう。

 

目標必達主義とは、いろいろな現場で起こっていますし、

同じ金融機関で働く身としてそれは痛いほど理解できます。

しかし二重で保険料を払わせるといった、顧客本位からかけ離れた営業姿勢は理解できません。

 

今回の不正ができてしまった別の背景には、顧客の「日本郵政グループに対する信頼」があります。

特に高齢者の場合、「日本郵政が損な提案をするわけがない」という根強い思いを持った人が数多くいます。

その思いを悪用した、重症度の高い問題と言えるでしょう。

 

不正販売に引っかからない為に

金融知識を身に付ける、これに尽きます。

簡単なことではありませんが、自身で考えて色々な金融商品を知っていくことが一番の予防策です。

高齢者や金融知識のない方は、金融商品の説明を聞くのが億劫で、営業マンに勧められたまま手続きする傾向にあります。

専門的なことが多いので聞く気が湧かないという気持ちもわかりますが、理解しようと心がけることで疑問も湧いてくるもので、わからないことは積極的に聞くようにしましょう。

そしてその説明に納得できなければ契約しないように。

それが第一歩です。

 

具体的な金融商品の説明などはこの場ではできませんが、

僕のブログで少しでもお役に立てる情報をこれからも発信していきたいと思っています。

 

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