現役銀行員、語る

しがないバンカーが銀行の裏側や世の中について語ります

銀行員の働き方、改革されたのか?

数年前から、働き方改革をよく聞くようになりましたね。取り組む会社もかなり増えてきたように感じます。

 

今日は銀行の働き方についてお話しようと思います。

 

 

 

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銀行の営業マンて何してるの?

銀行の営業は大きく2つの分野に分けられます。「法人営業」と「個人営業」です。

僕は主として法人営業ですが、個人営業をやる機会も最近では多いです。

「法人営業」と「個人営業」では、営業内容は全くと言っていいほど違います。

 

法人営業

法人営業の一番わかりやすい例が「融資業務」です。

営業マンが会社に訪問して、社長や財務の方と話をします。その中で融資の交渉を行い、お金を借りてもらうことで営業マンの実績となります。

 

ただ、銀行は融資では儲からなくなってきているのが実態で、融資以外での収益獲得にかなり力を入れています。

融資以外での収益機会とは、例えば、

 

①銀行本部のコンサルティング部門とのコンサルティング契約により手数料をもらう

②グループ会社を紹介する(成約に至った場合には連結決算上収益となる為)

シンジケートローン(※)を組成し取扱手数料をもらう

(※)シンジケートローンとは、多額の融資の際に銀行が数行集まり行う協調融資のこと

外国為替の手数料収入

デリバティブ取引の手数料収入

(④、⑤はどちらも鞘のビジネスで、取り扱い金額が増えるほど手数料収入が増えます)

 

①~⑤はあくまで一例ですが、法人営業はこういった銀行の収益獲得に向けた動きが現在の最大の使命です。

 

他にも、事業承継やビジネスマッチング、新規取引先の獲得、M&A、国内為替取引、などなど数多くの業務を同時進行でやっています。

 

個人営業

次に個人営業の主要業務はなんと言っても「投資運用商品の販売」で、投資運用商品とは主に投資信託と保険です。

 

資産を持っている方から運用商品を買ってもらったり、将来に向けてお金を貯めていく若い方にiDeCoやNISAをお勧めしたり、そういった営業活動をしています。

 

営業マンの目標

「法人営業」「個人営業」ともに数多くの目標を追って仕事をしています。

この目標は高く、項目が多い為かなりキツいです。

全部の目標を毎期達成できる人間に、今まで僕は出会ったことがありません。笑

 

しがないバンカーの働き方

そんな僕のとある1日を簡単にご紹介します。

 

8:00出社

8:30朝礼・打ち合わせ

10:00担当先訪問

13:00担当先訪問

15:00内部事務

19:30退行

 

あっさりした感じになってしまいました。笑

 

文字に起こすと淡泊ですが、実際は激動の業務で、昼食を食べる暇がないのは日常茶飯事です。

担当先訪問前にはセールスの事前準備が必要ですし、山のような事務が日々降ってきます。銀行内の手続きはどれも細かく決められていて、ほぼ全ての業務において手続きを確認しながら進めます。一つ間違えると手続き違反として監査で指摘されるので、適当には進められません。

 

それとは別に、営業マンが行う事務で最も体力を掛けるものがあります。

それが「稟議書の作成」です。

 

簡単に言うと、担当先の会社に対して融資をして良いか駄目か判断する、というものです。

当然「貸して良い!」という稟議を作ります。営業マンにとって貸してはいけない稟議は意味がないので作りません。つまり、そんな稟議は存在しません。笑

様々な角度から会社を検証して「この会社は大丈夫だ、貸したお金は返ってくる!」と審査部を説得します。その書面が稟議書です。

 

こういった事務を日々こなす為、ほとんどの銀行の営業マンは、セールスしている時間以上に事務をしています。

 

19:30には、仕事が途中でも会社から出なくてはいけません。

多くの人の場合、仕事が終わらないので家でできることを家でやっています。顧客情報の持ち出しはできませんので、あくまでも出来うる範囲内ですが。

 

今の銀行員の働き方はみんなこんな感じです。

 

基本的に土日に出勤することはありません。出勤したとしても振休は必ず取れます。

19:30に会社を出れるという点も、世の中の他の企業と比べると恵まれていると思います。

 

ちなみに、銀行は15時に窓口が閉まるので、15時に帰れていい仕事だと思っている人がいるかもしれませんが、15時で帰れる銀行員は1人もいません(定時17時ですし)。

窓口の女性行員は締め作業があって、忙しい時は夜まで残業します。

営業マンはそもそも、銀行が閉まる閉まらないは関係ないので15時を全く意識していません。

 

これからの働き方

ここからは僕の個人的な見解ですが、

これからの銀行の営業はより創造性を持った仕事をしていかないといけないと思っています。

「資金需要が発生したからお金を貸す」

「お金を持っている人に対して運用商品をセールスする」

といった、単純なビジネスであれば簡単に機械で出来るようになります。

それよりも

営業マン1人1人が、「顧客の声を傾聴し、課題を共有し、会社の将来・人生の将来を一緒に創っていくパートナーとなる」ことが銀行(銀行員)の存在価値だと思います。

 

前回のブログ

 

kjkmy.hatenablog.com

 

では銀行は新たなビジネスを見つけていくべきと書きましたが、新たなビジネスを見つける以上に必要なことだと思います。

 

残念ながら今の銀行の、数値目標を重要視する運営体制では実現するのは難しいと思いますが。

僕自身もそういった存在を目指して営業をしたい。ですが、残念ながら実力不足で時間が足りない、

普段そんなジレンマを抱えながら仕事をしています。

 

将来的には中小企業であったり、個人であったり、金融のパートナーとして多くの人の役に立ちたい、そんな仕事を生業としたいなあと思います。

 

まとめ

銀行の営業マンは、営業よりも書類作成屋の時間の方が長い

銀行員の働き方は労働の強制終了により改革をしている、つもり

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