現役銀行員、語る

しがないバンカーが銀行の裏側や世の中について語ります

「お金を借りる」の基本 vol.2金利と借金の本質

前回記事、

 

kjkmy.hatenablog.com

 

に続いて「お金を借りる」際の基本について書いていこうと思います。

 

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金利は変動?固定?

変動金利

変動金利はその名の通り金利が動くものです。

商品によって変動のスパンは変わりますが、一般的に固定金利より低いところが良い面です。

住宅ローンでは多くの場合、金利の上昇負担軽減策として「5年ルール」と「125%ルール」というものがあります。

説明は最後に書いてますので、ナンダソレという方は読んでおいてください。

 

固定金利

住宅ローンでは①3年、5年、10年といった期間を区切った固定金利や、②20年、30年の全期間固定する固定金利で2つに分かれます。

①期間を区切った固定金利では期間終了次第変動金利に切り替わります。固定金利が良ければ、再度固定金利を選択できますが金利は期間終了時に再度決めるので上がっているor下がっているかわかりません。

②はその名の通り全期間ずっと固定です。

 

変動、固定どっちがいいの?

結論としては、どっちがいいということはありません。

将来に対する考え方と好みで決めてください。

 

ご参考までに、考え方を2つご紹介しておきます。

①今は金利が低く、今後上がる見通しは立てづらいので、固定より低い変動金利を選択。今後金利が上昇局面になってきたら固定金利に切り替える。

金利が低い今こそ、金利を固定化するチャンス!これから上がるかもしれない不安を排除できる。

 

僕の個人的な意見としては②の方で、低い金利のうちに固定した方が良いと考えます。実際に5年や10年の固定金利を選ばれる方が多いです。

①の金利が上昇に変わる潮目の判断は難しいですが、一番わかりやすいのは「日銀のマイナス金利政策」です。

マイナス金利政策が終わると、日本の各種金利は上がります。

普段からニュースを見るなど、経済に触れる習慣がある方は金利を見ながら選択するのもいいと思います。

 

お金を借りる意味

繰り上げ返済はした方がいいの?

毎月の家計のやり繰りが上手くいっている場合、お金に余裕が出てくることもあるかと思います。

そんな時繰り上げ返済をすべきか、貯め続けるべきか、どちらの方が良いでしょうか?

もし悩まれている方がいたら参考にしてほしい考えがあります。

それは、

「お金を貯めた先に、使い道はあるか?」です。

ある方は繰り上げ返済せず貯金を続け、来るべき時に貯めたお金を使うべきです。

使い道がない方は払い続ける金利がもったいないので繰り上げ返済しましょう。

 

またこの考えとは少し異なりますが、僕であれば、住宅ローンほどの低金利のローンであれば繰り上げ返済はしません。

なぜなら世の中で住宅ローンを除いて1%を切った金利でお金を借りれる仕組みはほとんどないからです。

人間いつ何時何が起こるかわかりませんので、「ローンを繰り上げ返済して手持ちの預金が減るより、ローンは予定通りで手持ちの預金に余裕を持った方が得策だ」と僕は考えています。

要は万が一の時に備える為の必要経費として割り切るのです。

 

世の中の大半のことはお金があれば解決できます。

有事の際に急いでお金を借りようとした場合、貸してくれる先が見つからないか、

見つかったとしても高い金利や手数料を払うことになります。

お金と心にはできる限り余裕を持つことが重要です。

 

そもそも「お金を借りる」とは

金利はもったいないものだと考える方もいると思います。

借金というストレスやプレッシャーをできるだけ早く無くしたいと考える方もいると思います。

その考え方を否定する気はありません。

僕自身、進んで借金したいわけじゃありませんから。笑

ですが、お金を借りるということについて正しく認識し、正しくお金を借りることは豊かな生活を送るツールとなり得ます。

 

そもそも「お金を借りるとは、将来に亘ってお金を貯める時間を買うことだ」

と僕は考えています。

金利とは買った時間に対する対価です。

 

ローンがあることで、20代でも30代でも家や車を買うことができます。

毎月滞りなく返済を続けている限り、銀行からいきなり「お金を全部返してください」ということはありません。

もちろん、借り過ぎは禁物です。

自身の収入に見合った借金に留めることも必要ですし、借り過ぎて銀行がお金を貸さないということは収支のバランスが取れていない(=これ以上借りたら危険だ)ことの裏返しでもあります。

お金のことを知って有効に活用することで、生活を豊かなものにしてほしい。少しでもお役に立てれば嬉しいです。

 

【ご参考】

○5年ルール

5年ルールとは元利均等返済の時に適用されるルールで、返済額の見直しを5年に一度として、見直し以外のタイミングで金利が変わった部分については元金と利息の割合を調整する機能です。

例えば、毎月の返済額が10万円(元金9万円、利息1万円)だった場合、

金利が上がって利息が1万円から2万円になったとします。それでも5年に一度の返済額見直しのタイミングまでは、10万円という返済額は変わらず内訳が変わります。

金利変動前:10万円(元金9万円、利息1万円)

金利変動後:10万円(元金8万円、利息2万円)

ここにはメリット・デメリット両方あります。

◎メリット

返済額が変わらない為、金利が変わっても支出がすぐ増えることはない

◎デメリット

金利が上がった場合、気づかぬうちに元金返済ペースが落ちている

 

○125%ルール

125%ルールは、5年ルールで5年に一度の返済額の見直しが来ても、最大125%に止めます、というものです。

このメリット・デメリットは5年ルールと同じです。やっていることは返済額の繰り延べに過ぎないので、金利が上がった場合は将来に渡って負担が増えていくことになります。

 

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