現役銀行員、語る

しがないバンカーが銀行の裏側や世の中について語ります

「お金を借りる」の基本 vol.1商品ラインアップ

借金という言葉を聞くと、あまり良くないイメージを持つ方が多いかもしれません。

 

お金を貸すのが仕事のしがないバンカーが、お金を借りるということについて正しく認識してもらう為に基本知識を複数回に分けてお話します。 

 

f:id:kjkmy:20191201083132j:plain

お金の借り方の種類

お金の借り方は数多くの商品があります。ここでは代表的な商品をご説明します。

住宅ローン

借金は悪と考えている人でも、住宅ローンを組まずに家を買ったという人は極めて少数ではないでしょうか。

おそらく人生の中で一番高い買い物となる、家のローンです。

住宅ローンの大きな特徴は2点、「金利が低い」ことと「団体信用生命保険」が付けられることです。

 

金利が低い

住宅ローンは他のローンより圧倒的に金利が低いです。

メガバンクの変動金利は0.1%~0.9%程度、3年固定金利は1%前後、10年固定金利は1%~1.6%位です(2019年12月時点)。

 

一般的に固定金利は期間が長くなればなるほど金利は上がります。なぜか。

それは明日よりも、5年後10年後の方が不確実性が高いからです。

言い換えると、未来のことは遠くなればなるほどどうなるか予測するのが難しくなるからです。

 

変動金利・固定金利ともにマイナス金利の影響で金利が下がったという要因もありますが、何故こんなに低いのでしょうか?

答えの1つは、「銀行は住宅ローンで長期的な取引を獲得できるから低く設定している」です。

多くの方は住宅ローンの銀行口座を給料受取口座や生活費決済口座にします。

口座を使ってもらえばもらうほど、銀行には手数料収入が入ります。

住宅ローンは30年近く銀行との取引が継続することになるので、銀行としてこの長期取引を逃す手はありません。

得られる利息収入を安くしてでも取引を獲得したいのです。

 

団体信用生命保険

団体信用生命保険とは、簡単に言うとローンを組んでいる方が、返済期間中に亡くなった場合、ローンが完済になる仕組です。

住宅ローンを組んでいる方は入ってる方が多く、万が一本人が亡くなったとしても家族がローンの負担を追わずに済む、という利点があります。

 

最近では銀行業界の不況を受け、(銀行からの)ネット住宅ローン推しが強くなっています。店舗で取り扱う場合、ローンがわかる行員を配置しないといけませんし、内容は専門的です。銀行にとっては人員を集中させ、ネットで完結させた方が効率がいいんです。

借主にとっては申込みに掛かる顧客の事務負担は増える為、一般的に窓口の取り扱いよりも金利は少し低くなります。

個人的には、わからないことも多くネットでの応答では不安だ、という方は窓口で申し込んだ方がいいと思います

 

自動車ローン

自動車のローンはオートローンやマイカーローンなど呼び方の違いはありますが商品性は同じです。

金利は2%台~7%位で、ローンを組む金融機関によって大きく変わります。銀行以外にも信販会社(オリコやジャックスなど)や自動車メーカーのファイナンス会社(トヨタファイナンスやホンダファイナンス日産フィナンシャルサービスなど)でも取り扱っています。

自動車の購入までに時間的余裕があれば、金利をしっかり比較して申し込むことをお勧めします。

 

カードローン

ATMからお金が出てくる魔法のカードです。

、、、ウソです。笑

 

カードローンは住宅ローンや自動車ローンと違い、

「お金の使い道が自由」です。

それゆえ、使い方を一歩間違えると怖い商品と言えます。

金利は概ね15%程度で、借りる額が大きくなると金利も段階的に低くなります。

それは利息制限法という法律で「元本額10万円未満の借金の金利は20%以下」という決まりに基づいています(100万円未満までは18%以下、100万円以上は15%以下です)。

利息制限法は金融機関だけでなく、個人でやり取りする際にも適用される法律ですのでご参考までに。

 

よく、カードローンとキャッシングは何が違うのか?と聞かれます。

結論としてはカードローンは「借入専用のサービス」で、キャッシングは「クレジットカードの付帯サービス」という点が違います。

(使い道フリーでお金を借りるという点や返済方法についてはあまり変わりはないんですが、、、)

 

アパートローン(投資用不動産向けローン)

スルガ銀行の不正融資問題や、レオパレスの違法建築問題で話題となったアパートローンにも少し触れておきます。

アパートローンとは、アパート、マンションの一棟(or一室)の不動産購入資金に対するローンの総称です。購入者(=借主)は第三者へ部屋を貸し出します。

わかりやすい言葉で言うと「大家になる」ということです。

賃料収入により借入を返済していきますが、借入期間は20年~40年と住宅ローン並みの長期間です。

 

金利は大体3%~5%程度ですが、スルガ銀行レオパレスの一連騒動があって以来銀行の審査の目線は間違いなく厳しくなっています。

アパートローンを否定するつもりは全くありませんが、借主は慎重に判断すべきだと思います。サブリースについてもよく吟味する必要がありますので。

 

この話題について語りだすと長くなるので別の機会に書こうかと。

住宅ローンとアパートローンは同じ長期間の借入なのに、金利が違うことについても説明しようと思います。

 

その他の借り方

最近ではソーシャルレンディングやスコアレンディングといった新たな借り方も登場しました。

ソーシャルレンディングはインターネット上で「お金を借りたい人」と「お金を貸したい人」を結びつけるものです。

スコアレンディングは自身の情報や口座の移動情報を提供することにより、AIがその人の信用状況をスコアリング(=点数付け)して借入の可否、金利が決定するというものです。

、、、すごい世の中になってきましたね。

お金を貸すのが仕事の人間でも、しみじみとそう感じます。

 

まとめ

1.ローンの種類、借りる金融機関によって金利の高低はすごく差が出る

  住宅ローンは他の商品と比べて金利が低い

 

2.お金の使い方・借り方は計画的に